2006年に発売され話題となった『若者はなぜ3年で辞めるのか?』という新書のタイトルを覚えている人は多いのではないだろうか。同書では、努力したからといって必ずしも報われるわけではない現状に置かれた若者たちの抱える閉塞感を書く一方で、「3年で辞めた」後に想定される厳しさも説いた。
同書が発売されてから約2年後に起こったリーマンショックの影響もあり、氷河期にせっかく就職できた会社を「3年で辞める」ことを考える若者は減ったかもしれない。しかし、入社2年目、3年目となるに従いモチベーションが下がる傾向には変わりがないようだ。
JTBモチベーションズが今年1月、入社1年目~3年目(22~25歳)の若手社員を対象に行ったアンケートによると、「さらに成長したい」「今の会社で働き続けたい」といった仕事に対する意欲は、入社2、3年目で低下するという結果が出た。
「今の仕事に喜びを感じている」に「あてはまる」「ややあてはまる」と答えた入社1年目は合わせて57.2%とだったのに対し、入社2年目で計 36.9%、3年目で28.2%と減少している。「今の会社で働き続けたいと思っている」「さらに成長していきたい」「今の仕事が好きである」の項目についても同様に肯定的な回答が減少する結果だった。
JTBモチベーションズでは、「過去の調査で、ゆとり世代が働くことに求めるものは『人間としての成長』であることや、モチベーションの促進・阻害要因として成長実感が強い影響を持っていることがあきらかになっている」とした上で、入社2、3年目で意欲が低下する傾向については「目標達成による成長、研修受講、自己のふりかえり、ストレス発散ができなくなることや職場の人間関係への満足度が影響している可能性」を指摘している。若手社員の多くにとっては、報酬や安定性よりも、「自己の成長」がモチベーションにつながっている現状があるようだ。
ここで1つ考えられるのが、1990年代後半の就職氷河期から始まった厳しい就職活動による弊害。度重なる自己分析や「なぜ入社を志望したのか」「会社で何ができるのか」「どう成長していくつもりなのか」といった考えを盛んに求められれば、入社後も「これだけ自分で考えることを求めてくる会社ならば、自分はさらに成長できるはず」といった方向に自然と考えが向かうだろう。
さらに、相次ぐビジネス的自己啓発本のヒットに見られるように、「上昇志向を持つこと」がビジネスパーソンの必須項目であるかのような刷り込みがある。常に前進している実感がないと焦りを感じるのだ。入社1年目では業務についていくことに必死になり、目に映るものも新鮮だが、2年目に同じ仕事をしているというだけで、今の若者は「停滞では」と感じるのかもしれない。希望する会社に入れなかった新入社員ならなおさらのことだろう。
しかし、この状況を上司側から見ると、「成長できるかできないかは会社よりも自分次第」「忍耐力が足りない」ということにもなる。
同じアンケートでは、上司が若手社員に最も期待するのは「困難を克服する力」(40.5%)であるのに対して、若手社員が今後最も伸ばしたいのは「新しいアイデアや工夫を生み出す力」(42.7%)という結果も出た。
上司が「現状を踏まえ、この状況で自分が何をできるかを考えて欲しい」と思う一方で、若手は違う方向を向いている。第1に考えるのは会社の成長か、それとも自分の成長か。そもそもの前提に、世代間のギャップがあるようにも感じられる。-ダイヤモンド・オンライン
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